人間は誰でも生涯を健やかに過ごしたいと願っています。しかしながら､さまざまな理由でお身体の病気にかかってしまうこともあります。そしてそれらの中には､時には目に重大な障害を及ぼしてしまう疾患もあるのです。

｢目は心の窓｣とはよく言われる言葉ですが､こと身体の状態を診るにあたっても､目は重要な役割を果たすことがあります。例えば､こういったケースがあり得ます。
｢最近､何だか視力が落ちた気がする｣という訴えで外来受診されたその方は､今まで医療機関には縁がなかったという健康自慢の男性でした。毎年一回行われる会社健診でも血液検査に異常は見られず､ただここ数年少しずつ見えにくくなっているような気がしていたのです。
眼科を受診され眼底検査をしてみると､中等度以上の糖尿病網膜症。ではなぜ､それまで会社の健診でも糖尿病の存在を気付かれずに来たのでしょうか？
その方は健診の前2ヵ月くらいはご自分で節制をされ､腹八分を実行し､2～3日前からは甘いものを一切口にしなかったのです。結果､検査当日の血糖値は正常値を示し､過去2ヵ月間の糖代謝の状態を示すHb（ヘモグロビン）A1C値も正常範囲内だったのです。糖尿病で胸のX線写真に異常を示すことは稀ですから､もし眼科医の診察を受けなければ､誰もその進行に気付かなかったということになります。
こうなると､全身の管理が肝要になってきます。これは一つの例え話ですが､実際に私は似たような経験があります。

眼底検査が重要であることは､もはやよく知られていることですが､何も目の血管だけが侵されているわけではありません。目の状態から､身体の他の部位も同様な変化がみられるだろうと予想出来るのです。
目はおそらく唯一､その状態を肉眼視できる臓器です。何も糖尿病だけをいたずらに恐れるわけではありませんが､ある年齢になったら､眼底を含めた定期的な目の検査を受けられることをお勧めします。
当院では､随時そのような患者様の需要にもお応え出来る準備が整っております。どうかお気軽にお越しください。